垂直プローブVPT (Vertical Probe Transform) への再挑戦

VPTへの再挑戦を可能な見通し

垂直プローブVPTを取組んだ最初の段階では、高級材料と高級仕様を狙いすぎた傾向がありました。しかし、その後の関連技術の開発も進んで、コストダウンと実用性の向上が図れ、狙いの市場と仕様を見直て再挑戦できる見通しが出てきました。

以下、再挑戦を可能とする環境条件の好転と、能動的条件変革に関して、説明します。

1. 環境条件の好転:安価なプローブ材料が適用できる条件が揃った

初期の開発では、酸化膜の発生しない、高級プローブ材料であるイリジウムの採用を行っていました。しかし、イリジウムは非常に高価な材料でコスト高です。

しかし、クリーニングシートの技術の進展によって、安価なプローブ材料が使用できる見通しが出てきました。

レ二ウムタングステンは、CCC(電流搬送能力)も高く、機械的性質も優れています。唯一の欠点は、酸化膜ができ易いということです。酸化膜ができると、接触抵抗が大きくなりますので、電気導通検査では不具合が出ます。

レ二ウムタングステン材料のプローブで、いつも酸化膜発生での導通不良が出るのではありません。接触導通検査をしている間は、酸化膜は発生しにくいのですが、就業開始時など、⾧時間放置した後では、酸化膜で導通不良を発しやすいのです。

したがって、就業開始時や昼休み後など、プローブカードを⾧時間放置した後に、酸化膜除去機能を有するクリーニングシート(オプション)を使用してプローブ先端部の酸化膜を除去すれば、高価なイリジウムのプローブは不要です。

高価なイリジウムプローブ → (置換[大幅なコスト削減]) → 安価なレニウムタングステンプローブ + 酸化膜除去用のクリーニングシート使用

2. 環境条件の能動的変革:Fine Pitch への拘りを捨てコストダウンで市場開拓

初期の開発では、最先端を狙わないと市場に参入できない、との思い込みがあり、最先端のFine Pitch仕様を狙いました。ところが、これはコストを高くして参入障壁を更に高くするだけでした。

コストアップ原因は、細いプローブは高価なだけでなく、Fine Pitchでは、絶縁コーティングが不可欠で、これも大きなコストアップ要因でした。

Fine Pitchへの拘りを開放 → 絶縁コーティング不要使用(大幅コストダウン)

3. ピン自動挿入装置とリシェイピングシートを活用した、大幅コストダウン

垂直プローブVPTの特徴の一つは、自動ピン挿入装置です。 しかしながら、従来のワイヤープローブでは、自動ピン挿入装置が使えなかったのです。

  • ピン先を鋭利に加工した後で、自動ピン挿入装置にかけると、ピン先が潰れて損傷する。
  • ピン先を加工せずに、ピン自動挿入装置で治具に挿入しても組み立て後にピン先を加工する適切な手段がない。

リシェイピングシートを活用した場合、次のような画期的工法が可能です。

リシェイピングシートを活用した画期的工法